灯油だけを家庭で保管する場合、届出の対象になる量は横浜市で200Lから、札幌市の個人住居と仙台市の家庭では500Lからです。 いずれも1,000L未満の範囲での案内であり、全国共通の「家に置ける上限」ではありません。届出が不要な量でも、容器や保管場所の基準は守る必要があります。
家庭の届出対象量を公式案内で確認する
以下は、灯油だけを保管・使用する場合の比較です。Lはリットルを表します。市名のリンクから、各市の説明と消防署の相談先を確認できます。
| 市・対象 | 届出の対象量 |
|---|---|
| 横浜市 市の一般基準 |
200L以上 1,000L未満 |
| 札幌市 個人住居 |
500L以上 1,000L未満 |
| 仙台市 家庭での保管・使用 |
500L以上 1,000L未満 |
横浜市は指定数量の5分の1以上で届出が必要と案内しており、灯油の指定数量1,000Lの5分の1は200Lです。札幌市のQ11には一般の200L以上という区分もありますが、個人住居の届出対象量は500L以上1,000L未満です。仙台市の家庭向け案内も500L以上で消防署への届出が必要としています。
他の自治体で保管する場合や、共同保管・事業用など家庭の条件に当てはまるか分からない場合は、この表だけでは届出の要否を決められません。保管場所と用途を管轄の消防署に伝え、適用される条件を尋ねてください。
18Lずつ入った容器なら、何本で届くか
次の表は、すべての容器に灯油が18Lずつ入っていて、ほかに灯油や危険物がない場合の計算例です。容器の表示容量だけで現在の保管量を決めるものではありません。
| 本数 | 合計量 |
|---|---|
| 11本 | 198L |
| 12本 | 216L |
| 27本 | 486L |
| 28本 | 504L |
この条件なら、横浜市の200Lに届くのは12本から、札幌市の個人住居・仙台市の家庭の500Lに届くのは28本からです。たとえば200Lちょうども「200L以上」に含まれます。ほかの容器やタンクにある灯油を抜かした計算で、届出不要とは判断しないでください。
ホームタンクは容量・残量・補充後の予定量を分ける
タンクに表示された容量と、いま入っている灯油の量は同じとは限りません。消防署に相談するときは、次の情報を分けて伝えると、数量と設備の条件を確認しやすくなります。
- ホームタンクの表示容量と設置場所
- 現在の灯油の残量と、補充後に保管する予定量
- 別に置くポリタンクなどの灯油量と保管場所
- 同じ場所で保管するガソリン・軽油など、ほかの危険物の種類と量
この記事の3市の案内だけでは、ホームタンクの届出上の数量を表示容量・残量のどちらで扱うか、別々の場所の数量をどこまで合算するかまでは一律に決められません。容量だけ、または相談時点の残量だけで結論を出さず、補充や設置・変更の前に管轄の消防署に確認してください。
なお、消防法第10条第2項では、同じ場所で種類や指定数量が異なる危険物を保管・取り扱う場合、それぞれの量を各指定数量で割った値の合計が1以上なら、指定数量以上として扱います。灯油以外もある場合は、すべてを単純にリットルで足す方法とは異なります。指定数量未満の届出については自治体の条件も確認が必要です。
届出対象量未満でも、容器と置き方を確認する
届出が不要な量なら、どんな容器や場所でもよいということではありません。1,000L未満の危険物の保管・取扱いの基準は、消防法第9条の4により市町村条例で定められます。
仙台市の家庭向け案内は、1,000L未満の灯油について、次の基準を示しています。
- 保管・使用する場所で、みだりに火気を使わない
- 整理・清掃を行い、不必要な物を置かない
- 灯油が漏れたり、あふれたり、飛び散ったりしないようにする
- 灯油に適した容器を使い、破損・腐食・亀裂などがないことを確認する
- 容器を乱暴に倒す、落とす、衝撃を加える、引きずるといった扱いをしない
- 地震などで転倒・転落したり、落下物で損傷したりしないようにする
これは仙台市の基準の紹介です。他の自治体では、その市町村の基準で判断します。容器に目立つ傷がないことだけで、保管場所全体が適切とは判断できません。
また、灯油用ポリタンクをガソリンの運搬に共用しないでください。札幌市のQ1・Q2は、灯油用18Lポリ容器でのガソリン運搬はできず、変形や漏れなどのおそれがあると説明しています。
1,000L以上は、家庭の上限ではなく施設規制の区分
灯油は第四類第二石油類の非水溶性液体で、指定数量は1,000Lです。1,000Lちょうどから消防法の指定数量以上の規制に関わります。
消防法第10条・第11条によれば、指定数量以上の灯油は原則として、許可を受けた危険物の貯蔵所で保管する必要があります。「市長に許可をもらえば、普通の物置に好きなだけ置ける」という意味ではありません。施設の位置・構造・設備などの基準も関わります。
通常の貯蔵所の設置許可は、消防本部・消防署がある市町村では市町村長、それ以外の区域では都道府県知事が扱います。また、第10条には、所轄消防長または消防署長の承認を受けて10日以内に仮貯蔵・仮取扱いをする例外があります。10日以内なら承認なしでよい、という例外ではありません。
買い足す前に確認する順番
- 現在の灯油量と、買い足した後の予定量を整理します。ホームタンクの表示容量や保管場所は、別の情報として控えてください。
- お住まいの自治体の公式案内で、家庭・個人住居の届出条件を確認します。判断できなければ、消防署に上の情報を伝えて、対象数量・設置条件・必要な手続きを確認してください。
- 届出などが必要な場合は、保管・設置・変更を始める前に、管轄の消防署の案内に沿って進めます。あわせて、容器と保管場所が自治体の基準に合うか確認してください。
この表は家庭で灯油を保管する際の比較です。営業用の設備や販売などの手続き、共同住宅の共用部分の扱いを、この表だけで判断することはできません。