区分所有法が2026年4月改正。管理組合の決議要件が3/4に下がる影響は?
建替え決議は4/5→3/4、共用部分の変更は3/4→2/3に緩和。所有者が出席しない区分所有者の扱いも明確化され、決議の通りやすさが少し上がります。
目次(13項目)
2026年4月から変わる3点
マンション関係の法律(区分所有法・マンション再生法・マンション管理適正化法・被災区分所有法)が一括で改正され、2026年4月1日から施行されます。ふだんマンションに住んでいる人にとって関わりの強い変更は次の3つです。
1. 建替え決議の要件が緩和
老朽化したマンションを取り壊して建て直す決議は、これまで 区分所有者の5分の4以上の賛成 が必要でした。これが 4分の3以上 に緩和されます。
例えば100戸のマンションでは、これまで80戸の賛成が必要だったところ、75戸で決議できるようになります。所在不明や反対が一定数あるマンションでも建替えが進めやすくなる方向です。
2. 共用部分の変更が緩和
エレベーターのバリアフリー化、外壁の大規模修繕など、共用部分の『変更』にあたる工事は 4分の3以上 の賛成が必要でしたが、これが 3分の2以上 に下がります。
ここで言う『変更』は、軽微な修繕(外壁塗装の塗り直しなど)ではなく、用途の変更や形状の大きな変更を伴うものを指します。日常的な修繕は引き続き普通決議(過半数)です。
3. 所在不明の所有者を母数から除外できる
長年連絡が取れない、相続放棄されて持ち主が分からない、といった『所在等不明区分所有者』を、裁判所の許可で 決議の母数から外せる 仕組みが新設されます。
これまでは、所在不明の所有者も母数に入るため『議案を承認した人数 ÷ 全所有者数』で決議が判定され、欠席が事実上の反対扱いになっていました。今回の改正で、所在が確認できない人を最初から外して計算できるようになります。
自分のマンションが受ける影響
修繕積立金の見直しが進みやすくなる
国土交通省の指針では、長期修繕計画の見直しと積立金の段階的引き上げが推奨されています。一方で、現実の総会では『値上げに反対』する所有者が一定数いて、過半数の議決が取りにくいマンションも多くありました。
改正後は 共用部分の変更 にあたる工事の決議が3分の2に下がるため、大規模修繕に絡む議案を通しやすくなります。一方、修繕積立金の値上げそのものは普通決議(過半数)のままなので、ここは変わりません。
建替えの議論が動き出す可能性
築40〜50年以上のマンションでは、これまで5分の4の壁で建替えが進まなかった物件もあります。改正で4分の3に下がることで、建替えの議論が再開する組合が増える見込みです。
ただし、建替えには 解体工事費・新築工事費・仮住まい費 など1戸あたり1,500〜3,000万円規模の負担が発生します。決議要件が下がっても、資金計画が立たなければ前に進めない点は変わりません。
管理規約の見直しが必要なケース
多くのマンションでは、管理規約の中に決議要件を 法律と同じ数字で書き写している ことが多いです。法律が変わっても、規約をそのままにしておくと『規約の数字(例えば4分の3)』が優先されます。改正後の柔軟な議決を実際に使いたい場合は、規約改正の議案も必要になります。
規約の中身は、管理組合の理事会または管理会社に問い合わせれば確認できます。
賃借人として住んでいる場合
賃貸でマンションに住んでいる方も、改正の影響を受ける可能性があります。
- 大規模修繕の頻度が増えると、修繕積立金の値上げが進む
- 結果として、管理費・家賃にも影響が出ることがある
- バリアフリー工事や共用部の建て替え工事中は、エントランス・ゴミ置き場・駐車場が使えなくなる期間がある
賃貸契約の更新時に『今後の修繕計画』『工事予定』を管理会社・大家に確認しておくと、突発的な工事騒音や設備停止を避けやすくなります。
取扱いに注意したい点
既存の計画への適用
2026年4月の施行日より前に、すでに建替え決議や大規模修繕の決議が進んでいる場合、その案件は 旧法のルールが残る ことがあります。経過措置の詳細は、施行に合わせて法務省・国土交通省から告示・通達が出る見込みです。
区分所有者と賃借人の関係
決議は所有者だけが行います。賃借人は決議に参加できませんが、改正後に管理組合の議事録の閲覧請求がしやすくなる方向で見直しが進んでいます。自分の住むマンションの動きを把握するために、議事録の入手方法を管理組合に確認しておくと安心です。
※おわりに
区分所有法の改正は専門的な印象がありますが、実際の生活への影響は『修繕積立金の値上げが議論されやすくなる』『建替え議論が再開する可能性がある』という形で出てきます。自分のマンションが何年に建ったか、長期修繕計画が何年スパンで組まれているかを管理組合に確認してみると、今後の負担を見通しやすくなります。2026年度の総会では、関連した議案が出てくる可能性があるため、議題を一度読み込んでから出席することをおすすめします。
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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