ベランダに鳩が巣を作った — 卵があるとき勝手に撤去すると違法になる
卵やヒナがあれば自治体の捕獲許可なしに撤去すると違法。巣材だけの空の段階なら自分で取り除いてよい。気づいた時点で写真を残し、卵がまだなければその日のうちに片づけるのが現実的。
目次(7項目)
朝、ベランダの隅で枯れ枝が積み上がっているのを見つけた。最初は風で飛ばされたゴミかと思って近寄ると、小さな白い卵が二つ並んでいる。鳩の巣だ。すぐに片づけて消毒したい気持ちが先に立つけれど、卵やヒナがある状態で勝手に処分すると、鳥獣保護管理法の違反になる。罰則は1年以下の懲役または100万円以下の罰金。気づいた瞬間に動くか、それとも止まって考えるかで、その後の手間と費用が大きく変わってくる。
巣材を運んでくるのは多くの場合「ドバト」と呼ばれる野生のハト。街中で見慣れすぎて法律と結びつかないが、野生鳥獣の一種として保護対象になっている。マンションや戸建てのベランダは、雨風がしのげて天敵が近寄れない場所として鳩から見れば一等地。5月から9月の繁殖期には、同じ建物の同じ向きの部屋で同時に巣作りが始まるケースもよく聞く話。
「卵やヒナのある巣」と「空の巣」で扱いがまったく違う
判断の起点はここにある。卵やヒナがない、つまり巣材だけが置かれている段階であれば、自分で取り除いても法律上の問題にはならない。針金ハンガーが集まっただけの状態を捨てるのと同じ扱いになる。気づいたその日のうちに巣材を袋に入れて捨て、跡地に忌避剤を噴いておけば、それで一段落することが多い。
ところが卵が一つでも産まれていれば、状況が変わる。鳥獣保護管理法第8条が、許可を持たない人が野生鳥獣の卵を採取・損傷することを禁じている。ヒナがいるときも同じ扱い。親鳥が一時的に離れて巣が空に見えるタイミングがあっても、その隙に卵を捨てれば違反として記録される。
罰金額は最大で100万円、懲役は最大1年。実際にここまで重い処分が下る例は少ないが、近隣トラブルや管理組合との争いの延長で告発された事案も報告されている。「自分の家のベランダだから」「もう汚れているから」では通らない領域として覚えておきたい。鳩がいるかどうかでは判定されず、卵・ヒナの有無が境界線になる、と頭に入れておくとブレなくなる。
巣作りの初日に気づければ手間は最小限
鳩が新しいベランダで巣を作るプロセスは、思ったよりも速い。下見の段階を含めて10日ほどで産卵に入る例が多く、いったん産卵すれば許可申請に2〜3週間かかるあいだに孵化してしまう。気づいた時点で巣がまだ空であれば、その日のうちに撤去するのが現実的な選択肢。
巣材が目に入ったら、まず周辺を写真で記録しておく。日付付きで撮っておくと、後から業者や管理組合に相談するときの状況説明が一気に早くなる。次に巣材をビニール袋に集めてフンと一緒に処分する。手袋とマスクは必ず着用する。鳩のフンや羽にはクリプトコッカスやオウム病の原因菌が混じることがあり、素手で触ったり粉を吸い込んだりすると体調を崩す原因になる。
撤去した直後にもう一度同じ場所に枝を運ぶ習性があるので、忌避剤やネット、テグスを並行して設置する。何もしないで放置すれば、数日後にまた同じ場所で巣材を見つけることになりやすい。一度「ここは安全」と覚えた個体は、追い払っても戻ってくる粘り強さがある。下見に来ている段階で気づければ、ベランダの手すりに反射テープを貼るだけで諦めてくれることもある。
すでに卵がある場合の自治体への許可申請
卵やヒナがある段階で撤去したいときは、住んでいる市区町村の環境課か生活衛生課に連絡する。提出書類の名称は自治体ごとに違うが、「鳥獣の捕獲等許可申請書」が一般的な呼び名。申請理由として衛生被害、健康被害、騒音などを記入し、巣の位置や周辺写真を添付する形になる。
許可が下りるまでの期間は自治体差が大きい。早くて1週間、遅くて1か月。マンションで管理組合の決議を取る必要がある場合は、そこにさらに時間が乗ってくる。許可が下りる前に勝手に撤去してしまえば、後から発覚した時点で違反扱いになる。待ちきれない気持ちが出ても、先走らないこと。
孵化後のヒナが巣立つまではおおよそ1か月。卵がすでに温められている状態だと、巣立ちまで待つよう勧められる自治体もある。フンの被害が深刻な場合や、住人に喘息など呼吸器系の持病がある場合は、その旨を相談時に具体的に伝えると判断が変わることもある。「子どもの咳が止まらなくなった」のような症状を書き添えると、書類の優先度が上がりやすい。
許可申請にかかる費用は基本的に無料の自治体が多いが、都市部の一部では数百円〜数千円の手数料が発生する。書類の不備で差し戻されると、再提出から審査やり直しで時間がさらにかかるため、最初の電話で必要書類と記入例を確認しておくと無駄足を減らせる。
業者に依頼するときの費用感と相見積もり
自分での対応が難しいとき、あるいは卵やヒナがすでにある状態を相談したいときは、害鳥駆除の専門業者に依頼する選択肢がある。費用相場は撤去のみで1万5000円〜3万円。清掃と消毒、再発防止のネット設置までを含めると3万〜7万円が目安。マンションの構造や階数、巣の数によって上下する。
業者を選ぶときに確認しておきたいのが、捕獲許可の代行申請ができるかどうか。許可は本来住人が取るものだが、業者が代行する仕組みも整っている。代行料込みの見積もりなのか、別料金なのかで総額が変わってくる。次に再発防止策の保証期間。「半年以内に再来したら無料で対応」のような書面保証があると、翌春のリスクを大きく減らせる。清掃後の高所作業や薬剤散布で近隣告知が必要かどうかも聞いておくと、管理組合への根回しが進む。
ネット施工の単価は1平米あたり1万5000円前後が相場感。安すぎる見積もりは網目が粗かったり固定が甘かったりで1年持たないこともある。鳥害対策の実績年数と、過去の施工写真を見せてもらうと判断材料になる。
賃貸物件であれば、最初の連絡先は管理会社か大家になる。ベランダの設備にネットを固定する作業は、契約上の許可が必要になるケースが多い。費用負担も大家側が持つことがあり、勝手に手配する前に一報入れておくと後の精算が楽になる。
フン掃除は乾かす前に湿らせる
放置されたフンを片づけるときに気をつけたいのが、乾いた状態で掃き取らないこと。粉になって舞い上がり、含まれる病原菌を吸い込むリスクが一気に上がる。霧吹きで水か薄めの塩素系漂白剤を吹きかけて湿らせ、ペーパータオルで包んで処分する流れが安全。マスクは布マスクではなく不織布、できればN95相当が望ましい。
掃除後の場所には、忌避スプレーを噴くか、テグスを張る。再来防止には、巣材の痕跡と匂いを完全に消すのが効く。同じ匂いが残っていると、戻ってきた親鳥が「ここでよい」と判断してしまう。週に一度はベランダを見回り、新しい枝が落ちていないか確認する習慣がつくと、翌年の同じ時期に同じ騒ぎを繰り返さずに済む。
健康への不安が強い場合や、フンに長く曝露された後で咳・発熱が続く場合は、内科で「鳩のフンに触れていた」と伝えて受診してほしい。
来年の同じ時期に繰り返さない予防策
鳩は同じ場所に何度も戻ってくる習性が強い。一度ベランダで巣作りに成功した個体は、翌年も同じ建物に戻ってくる例が多い。撤去で終わらせず、巣を作れない環境に切り替えておくのが、結局は一番安上がりになる。
物理的に着地させないネット張りが、再来防止策では一番効く。手すり全体を覆う必要があり見た目を犠牲にする面はあるが、再来率は最も低い。テグスは安価で目立ちにくく、釣り糸を手すりの上に張る方式。ただし手すりだけに張っても、室外機の上や植木鉢の陰に巣を作られると意味がない。剣山型スパイクは隙間に置けるが、鳩は巣材を上に積んで対応してくる例もあり、組み合わせて使うことが多い。忌避ジェルは数か月で効果が落ちる消耗品扱いで、定期的な貼り直しが要る。
日常的な対策も意外と効く。洗濯物を毎日干していると鳩は寄り付きにくい。植木鉢を詰めて並べないこと、夜間に物干し竿を窓側へ寄せておくことも、隠れ場所の選択肢を減らす効果がある。鳩は身を隠せる場所と止まれる場所のセットを探しているので、その条件を崩しておくと違うベランダに移っていく。
巣を撤去できた後も、管理会社や管理組合に経過を一報しておくと安心。同じ建物で別の住戸でも巣が作られている可能性があり、共用部での一斉対策に発展する例もある。一棟まとめて対策を取ると一戸あたりの費用が下がり、結果的に得をする住人が多い。
参考資料
環境省と各都道府県の環境局が、鳥獣保護管理法の解説と捕獲許可の申請方法を公開している。マンションや戸建てによって自治体の窓口名が違うので、住んでいる市区町村のサイト内検索で「鳩 駆除 許可」「捕獲許可」のキーワードで探すと案内ページに辿り着きやすい。
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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